不動産を生前贈与するメリット
人が亡くなったとき、亡くなった方(被相続人)の財産や借金は親族(相続人)に承継されます(民法882条、896条)。そして、財産の額が一定以上の金額であったとき、相続人は相続税を支払う必要があります。
相続税を支払わないためには、亡くなる方の財産を元から相続人等へ贈与(同法549条)しておくという方法が考えられます。贈与には、「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」の2つが考えられ、暦年贈与は1年間で110万円の範囲で、相続時精算課税制度は選択した時から総額2500万円の範囲で贈与税を支払わずに贈与をすることができます。
では、不動産を生前贈与しておくことにはどのようなメリットがあるでしょうか。
一番のメリットは、贈与は契約の相手が決まっているため、決まった相手に不動産を譲り渡すことができるという点です。
相続は、遺言(同法960条以下参照)をしない限り、特定の相続人に対して譲渡するよう求めることはできず、被相続人が亡くなった後、遺産分割協議にて不動産を誰が取得するか相続人の中で話し合うこととなります。
もっとも、相続は亡くなった時に開始するため、口を出すことができないのは当然でしょう。
従って、不動産を贈与しておくことによって、相続人間での無用な争いを避けることができます。
また、上述したように、生前に財産を減らしておくことによって、相続税額を減らすことができます。
もっとも、相続時精算課税制度を用いた際には、その間の贈与額は相続時の財産に加算されてしまうため、節税のために不動産を生前贈与する方は、相続税額と贈与税額を税理士に試算してもらうことをお勧めします。
川合公認会計士・税理士事務所は、新宿区に本拠を置き、杉並区、中野区、世田谷区をはじめ、全国各地の贈与税に関するご相談に対応しております。当事務所は、弁護士や司法書士など他士業と連携し、お客様のニーズに合ったご提案をいたします。相続税、不動産相続、資産運用、事業承継等でお悩みの際は、川合公認会計士・税理士事務所までご連絡下さい。