相続税を電子申告する方法
相続税の申告はこれまで紙で行うのが一般的でしたが、近年では電子申告が可能になり、便利さが向上しています。
電子申告を利用することで、税務署に直接出向く必要がなくなり、手続きの効率化を図ることができます。
本記事では、相続税の電子申告の方法や流れについて詳しく解説します。
相続税の申告期限はいつ?
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
この期間内に申告を完了させる必要があります。
たとえば、被相続人が1月15日に亡くなった場合、申告期限はその年の11月15日(申告期限が休日の場合は翌営業日)となります。
期限を過ぎると、加算税や延滞税が課される可能性があるため、余裕を持って準備を進めましょう。
申告書の提出先はどこ?
相続税の申告書は、被相続人が亡くなった時点での住所を管轄する税務署に提出します。
税務署の管轄区域は国税庁の公式サイトで確認できます。
電子申告を利用する場合は、e-Taxを通じてオンラインで提出することも可能です。
電子申告のメリットとは
電子申告には、以下のようなメリットがあります。
税務署に行く手間を省ける
電子申告では、インターネットを利用して自宅や職場から申告が可能です。
忙しいスケジュールの中でも手続きを簡単に完了させることができます。
入力ミスを防ぎやすい
電子申告では、入力内容がシステムでチェックされるため、計算ミスや記載漏れを防ぐのに役立ちます。
初めて利用する人でも、必要な項目をガイドに従って入力するだけで安心して進められます。
提出後の確認が容易
電子申告では、送信履歴や申告内容がデータとして保存されます。
これにより、申告後の修正や確認がスムーズに行えます。
電子申告の準備
電子申告を行うためには、国税庁が提供する「e-Tax」システムを利用します。
以下は、事前に必要な準備です。
利用環境の確認
e-TaxソフトはWindows OSにのみ対応しており、Mac OSでは利用できません。
対応するパソコンを確認しておきましょう。
電子証明書の取得
電子証明書は、申告データが本人のものであることを確認するためのものです。
マイナンバーカードを持っている場合は、マイナンバーカードを利用して申請が可能です。
持っていない場合は、指定機関から電子証明書を取得する必要があります。
発行方法や費用は機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
e-Taxの開始届出書の提出
税務署に「電子申告・納税等開始届出書」を提出し、利用者識別番号を取得します。
この手続きはオンラインでも可能です。
e-Taxソフトのインストール
国税庁の公式サイトから、e-Taxソフトをダウンロードしてインストールします。
「税目の追加インストール」で相続税を選択し、該当する年度を設定する必要があります。
電子申告の具体的な手続き
以下は電子申告の具体的な手順です。
e-Taxソフトにログインする
準備が整ったら、e-Taxソフトにログインします。
利用者識別番号またはマイナンバーカードを利用してログインを行います。
申告書を作成する
e-Taxソフトで、被相続人や相続人の情報、相続財産の詳細を入力して申告書を作成します。
必要な帳票(ケースにより異なりますが、たとえば、第9表~第15表)を順に作成していきます。
相続税額を計算する
作成したデータをもとに、第1表と第2表で相続税額を計算します。
申告書を送信する
すべての帳票が完成したら、電子署名を行い、申告書を送信します。
電子署名には、マイナンバーカードまたは電子証明書を利用します。
ICカードリーダーが必要な場合は、事前に準備しておきましょう。
相続人が複数いる場合の「参照作成機能」
相続人が複数いる場合、e-Taxには申告書データを共有し、効率的に手続きを進められる「参照作成機能」があります。
この機能を使えば、1人の相続人が作成した申告書を他の相続人がデータとして取り込み、それぞれの申告書を完成させることが可能です。
この方法を活用することで、作業時間を短縮することができるでしょう。
まとめ
相続税の電子申告は、効率的で便利な方法ですが、事前の準備と正確な手続きが重要です。
初めての人は特に手続きに戸惑う場合があるかもしれません。
そのような場合は、税理士を活用し代理で申告してもらうことも検討してみてください。